- 社内のAI活用は四つの問いに分けられます。なぜ使うか、どこで使うか、どう動くか、どう進めるか。ツールを選ぶ前に、この順番で答えます。
- 最初は、一つの部門で毎日繰り返す仕事を一つ選び、導入前の数字を記録しておきます。
- 本番で使う前に、仕事の責任者、人が承認する工程、AIに渡してよいデータの決まりをそろえます。
- 経営者とIT部門は読む順番が違います。最初の仕事は一緒に決めてください。
社内のAI活用は四つの問いから始まります
多くの経営者は、どのAIツールを買うかから考え始めます。IT部門は、今のシステムとどうつなぐかから考えます。どちらも大切な問いですが、出てくるのが早すぎます。ツールを選ぶ前に、会社として答えるべき問いが四つあります。なぜ使い、効果をどう測るのか。どの仕事に使うのか。システムはどう動くのか。どう進めるのか。
このガイドは9章あり、この章は全体の地図です。残りの8章が四つの問いに順に答えます。
なぜ:数字で測れる効果
最初の問いは、AIで何が良くなり、良くなったことをどう確かめるかです。測れる効果の多くは、毎日繰り返す仕事にあります。システムに打ち直す書類、毎回同じように答えるお客様の質問、机の上で止まっている承認などです。
第1章AI導入のメリット7つ:企業が数字で測れる効果と測り方は、効果を七つに分け、それぞれ何を測り、導入前にどう記録するかを説明します。自社は手作業に毎月いくら払っているのか?と合わせてお読みください。この数字が、のちに経営会議で問われるROI(投資対効果)の土台になります。
どこで:部門ごとの仕事
何を測るかが決まったら、次はどこで使うかです。営業は見積もりを早く出したい。経理はタイ語の請求書の打ち直しをやめたい。購買は仕入先の価格をもっと早く比べたい。人事は、社員が福利厚生の答えを自分で見つけられるようにしたいと考えます。
第2章部門別のAI活用事例:営業、経理、購買、人事は、部門ごとの事例を集め、今日からAIを使える仕事と、データが整うまで待つべき仕事を分けています。最初の部門を選ぶときの点数のつけ方は人件費を削減したいなら、AIはどの部門から導入すべきか?にあります。
どう動くか:LLM、RAG、エージェントとシステムの構造
ここは飛ばされがちで、契約後に問題として戻ってくる部分です。経営者は、AIシステムが何でできているかを知っておくべきです。部品ごとに費用とリスクが違うからです。
第3章AIアプリの仕組み:LLM、RAG、AIエージェントを実例で解説は、三つの主要な部品を説明します。LLMは文章を読み書きする言語モデルです。RAG(検索拡張生成)は、答える前に自社の文書を検索させ、答えが自社のデータから出るようにする方法です。AIエージェントは、一つの仕事を受け取り、必要なシステムを開いて最後までやり遂げます。
第4章社内AIシステムの7層構造:IT部門が構築前に決めることはIT部門向けの章です。AIシステムは七つの層でできており、LINE公式アカウントのようなチャネルから、モデル、データ、管理、効果測定までが含まれます。層ごとに、作る前に決めるべき問いがあります。お客様のデータを社外に出せない場合はプライベートLLMが選択肢になります。詳しくはデータを社外に出せない会社のためのプライベートAIという選択肢をご覧ください。
第5章AIエージェント、エージェンティックAI、生成AIの違いは、提案資料に出てくる三つの言葉を整理します。生成AIは下書きを作って終わります。AIエージェントは、与えられた権限の範囲で一つの仕事を終えます。エージェンティックAIは、人が決めた範囲の中で多くの工程やシステムを束ねます。比較表があり、普通のチャットボットで十分な場合も説明しています。
どう進めるか:ルールを決める、働き方を変える、依頼する
最後の問いには3つの章があります。導入とは、並行して進む三つの仕事だからです。
第6章生成AIの社内利用ルール:タイのPDPAに沿った10項目は、最初のシステムが動き出す前に読む章です。多くの会社で、社員はすでにIT部門の知らないAIを使っています。1ページのルールで、どの種類のデータをどのツールに入れてよいか、新しいツールは誰が承認するか、誰かが間違えたときに何をするか、そしてタイの個人情報保護法(PDPA)が求める項目を決めます。
第7章AIトランスフォーメーションとは?どこから始め、最初の90日で何をするかは、ツールの購入と働き方の変更を分けて考えます。AIトランスフォーメーションとは、AIを日々の仕事に組み込み、業務プロセス、役割、成果の測り方を変えることです。最初の90日を何で締めくくるべきかを示します。期間ごとの計画は経営者のための、会社を90日でAIファーストに変える計画にあります。
第8章アプリ・AIシステム開発を依頼する前のよくある質問20は、契約前に発注側が尋ねる質問を、価格と期間、範囲と技術、協働の進め方、引き渡し後の四つにまとめています。どの開発会社にも同じ質問を使ってください。自社側で先に準備しておくことはAI開発会社に依頼する前に何を準備するかにあります。
架空のケース
ナコンパトム県にある家族経営の冷凍食品メーカー(社名と詳細は架空)は、レストランに商品を卸しています。最初の四半期、経営陣は「なぜ」と「どこで」に答えました。営業がLINEで注文を受けてシステムに打ち込む時間を測り、最初の仕事を受注に決めました。毎日繰り返す仕事で、営業課長が責任者を引き受けたからです。
二つ目の四半期、IT部門は古い販売システムにAPIがないことに気づき、先に連携の仕組みを作りました。会社は同時に1ページの利用ルールを出しました。顧客リストを個人のAIチャットアプリに貼り付けている社員がすでにいたからです。三つ目の四半期、エージェントがLINE公式アカウントで注文を受け、受注伝票の下書きを作って営業の確認を待つようになりました。最初の失敗は単位でした。お客様はケースで注文したのに、システムは袋で記録したのです。チームは、単位があいまいなときは聞き返すルールを加えました。四つ目の四半期、年初に記録した数字と比べたうえで、二つ目の仕事として経理の仕入先請求書を選びました。
役割ごとの読む順番
経営者とIT部門は決めることが違うので、読む順番も違います。最初の仕事を選ぶ場面で合流します。
四つの問いの地図
- なぜ 第1章。成果物:測る仕事の導入前の数字
- どこで 第2章。成果物:一つの部門の最初の仕事と、その責任者の名前
- どう動くか 第3・4・5章。成果物:つなぐシステム、社外に出してよいデータ、仕事の段階
- どう進めるか 第6・7・8章。成果物:1ページのルール、90日の計画、開発会社への質問
経営者の順番: 第1、2、5、7、6、8章
IT部門の順番: 第3、4、5、6、8章
読み方の決まり: 「なぜ」に数字がないうちは、ツールを選びません。
| 章 | 読むべき人 | 答える問い | 決められること |
|---|---|---|---|
| 1 AI導入のメリット7つ | 経営者、財務責任者 | AIで何が良くなり、どう測るか | 導入前にどの数字を測るか |
| 2 部門別のAI活用事例 | 経営者、部門長 | 自部門のどの仕事にAIを使えるか | 最初の仕事とその責任者 |
| 3 AIアプリの仕組み | IT部門、経営陣 | LLM、RAG、AIエージェントは何が違うか | 最初の仕事に必要な部品 |
| 4 社内AIシステムの7層構造 | IT部門 | AIシステムは社内の何とつながるか | どのモデルを使い、データをどこに置き、誰が承認するか |
| 5 AIエージェント、エージェンティックAI、生成AI | 経営者、IT部門 | 開発会社の提案はどの段階のものか | 最初の仕事をどの段階にするか |
| 6 生成AIの社内利用ルール | 人事、法務、IT部門 | PDPAの下で、どのデータをAIに入れてよいか | 社内に告知できる1ページのルール |
| 7 AIトランスフォーメーションとは | 経営者、経営幹部 | ツールの購入とどう違うか | 最初の90日を何で締めくくるか |
| 8 依頼前のよくある質問20 | 経営者、購買部門 | 契約前に開発会社に何を聞くか | 比べられる答えで開発会社を選ぶ |
構築に進める状態とは
開発会社と話す前に、このリストで確認してください。欠けている項目があれば、それに答える章に戻ります。
- 一つの部門の最初の仕事が一つ決まり、その責任者の名前がある
- その仕事の導入前の数字がある(1件あたりの時間など)
- その仕事が触れるシステムと、APIの有無がわかっている
- お客様のどの種類のデータを社外に出してよく、どれを社内に留めるかの合意がある
- 1ページでも、社員が知っているAI利用ルールがある
- どの工程で誰が承認するかが決まっている
- どの開発会社にも同じように聞く質問のリストがある
開発チーム向け · IT部門が最初に読むもの
まず第3章を読み、LLM、RAG、エージェントという言葉の意味を、チームの中でも開発会社との間でもそろえます。次に第4章です。後から戻しにくい判断は、データの層と管理の層に集まっているからです。正本のデータはどのシステムにあるか、APIがあるかRPAが要るか、モデルをクラウドで動かすか社内で動かすか、監査ログをどこに残すか。開発会社と会う前に、APIの有無を添えたシステム一覧、個人データの流れを示す図、エージェントに必要な最小限の権限の三つを用意してください。そのうえで第6章を読みます。データのルールをシステムの中で実際に効かせるのはIT部門だからです。
この道筋に沿って、私たちはこう進めます
このガイドの道筋は、DNA Makerがお客様と進める手順そのものです。私たちは、その仕事を毎日している方々のお話を伺うところから始めます。システムが守るべきルールは、その方々の経験の中にあるからです。伺った内容を、業務の手順、ルール、手順ごとに使うデータ、人が判断する箇所として書き出します。このコンサルティングの段階で地図の最初の二つの問いに答え、まだAIを使うべきでない仕事であれば、はっきりそうお伝えします。
最初の仕事が決まったら、着手前に範囲と価格を固定します。画面の試作をご承認いただいてから短い期間に区切って作り、毎週デモをお見せし、シニアエンジニアが確認します。テストを経て本番に移したあとは、社員の研修と月ごとの保守を続けます。担当するのはすべてDNA Makerのチームで、外注はしません。タイの銀行、病院、大手企業グループでも、こうした仕事を手がけています。詳しくはAIトランスフォーメーションとAIアプリ開発のページをご覧いただくか、チャットでDreamに仕事の内容をお伝えください。数分で概算をお出しします。
SOFTWARE ENGINEERING GLOSSARY
ソフトウェア開発用語集
| 用語 | 意味 | わかりやすい例 | 開発チームへの質問 |
|---|---|---|---|
| LLM | 文章を読み書きする大規模言語モデル | LINE公式アカウントでお客様への返信案を作る部分 | どのモデルを使い、替えることはできるのか? |
| RAG(検索拡張生成) | 答える前に社内文書を検索させる方法 | 社員が休暇について聞くと、最新の就業規則から答える | 文書が変わったら、誰がシステムを更新するのか? |
| AIエージェント | 一つの仕事を受け取り、与えられた権限の範囲で終えるソフトウェア | LINE公式アカウントで受けた注文から受注伝票の下書きを作る | このエージェントはどのシステムに触れられ、誰が権限を与えたのか? |
| ROI(投資対効果) | 投資額に対して得られる成果 | 毎月浮いた時間とシステムの費用を比べる | 導入前の数字は何で、誰が測るのか? |
| プライベートLLM | 自社の環境で動かす言語モデル | お客様のデータが自社のサーバーから出ない | 自社のどの仕事に本当にプライベートLLMが必要なのか? |
