- アプリ開発の発注は7つのステップで進みます。経営者の判断が最も重いのは、コードを書き始める前の最初の3ステップです。
- 開発中は毎週、実機で動くアプリを見せてもらい、検収は御社の端末と実際の業務で行います。
- ストアの開発者アカウントは早めに御社名義で登録し、最終支払いの前にソースコード、資料、すべてのアカウントのパスワードを受け取ります。
- そのステップで何を決めたのか答えられないうちは、次のステップを承認しないでください。
発注側から見たアプリ開発の流れ
アプリ開発の発注は、店舗の増築に似ています。れんがを積むのは職人で、御社はどの場所を誰が使うかを伝え、基礎を打つ前に図面を承認し、毎週現場を見に行きます。以下の各ステップでは、決めること、準備すること、見せてもらうべきもの、プロジェクトがつまずきやすい点を順に説明します。開発会社によって工程の呼び方は違いますが、中身は同じです。
ステップ1:課題と利用者を定める
最初のステップには、まだ画面がありません。あるのは、アプリが誰のどんな課題を解決し、解決できたとどう判断するかという問いだけです。答えを出すのは御社で、開発会社は問いを鋭くする手伝いをします。
課題を一つ、主な利用者を一つのグループ、測る数字を一つ決めます。たとえば「3か月後にアプリ経由で入る予約の割合」です。そのうえで、開発会社が話を聞ける実際の利用者を3〜5人用意します。よい開発会社は、一人ひとりの業務がアプリをどう通るかを1枚にまとめて戻ってきます。代わりに2ページの機能一覧が出てきたら注意が必要です。機能から始めたプロジェクトは範囲が膨らみがちです。本当に需要があるか確信が持てないなら、先にアイデアから試作品まで7日間の方法を試してください。
ステップ2:範囲を決めて見積もりを取る
スコープ(開発範囲)は、最初のバージョンで何をして何をしないかの一覧です。書かれていないことは、途中で必ず議論になります。
課題を解決できる最小の機能の組み合わせ、つまりMVPを選び、iOSとAndroidを同時に作るか、片方から始めるかを決めます。連携するシステム、たとえばLINE Login(タイで広く使われるメッセージアプリLINEのアカウントでのログイン)やPromptPay(タイの国民的なQR決済)での支払いを挙げ、範囲を承認できる担当者を一人決めます。よい見積書には範囲が添付され、着手前に金額が固定され、納期が日付で書かれ、途中で追加を頼んだらどうなるか、ソースコードが誰のものになるかが明記されています。よくある失敗は、安い見積もりが、実は範囲を御社の想定より狭く解釈した結果だったというものです。相談の前に準備しておくものはAI開発会社に依頼する前に何を準備するかにまとめています。
ステップ3:タップして動くプロトタイプ
プロトタイプ(試作版)は、スマートフォン上で全画面をタップして行き来できるものです。裏側の仕組みはまだありません。今ならボタンの移動は1時間で済みますが、ステップ5では数日かかります。
現場のスタッフ2〜3人に、会員登録から初回注文まで、実際の業務を一通り試してもらったうえで、プロトタイプを開発する設計として承認します。よい開発会社はスマートフォンを手渡して経営者自身に操作してもらい、手が止まった箇所をすべて記録します。よくある失敗は、見た目がよいという理由で承認し、テストの段階になって画面の順番が実際の業務と合わないと気づくことです。タップして動くものと、顧客が頼れるシステムとの距離についてはバイブコーディングのプロトタイプから本番システムへをご覧ください。
ステップ4:スプリントで開発し、毎週デモを見る
最も長いステップです。チームが2か月姿を消し、見たことのないものを持って戻ってくる事態を防ぐには、作業をスプリントと呼ばれる短い期間に区切り、毎週実物を見ることです。
最もリスクの高い部分、たとえば既存の会員システムとの連携を先に進めるよう決め、新しい要望が出たら、合意済みの範囲のうち何と入れ替えるかを選びます。御社に必要なのは、判断できる人の時間を週1時間確保することです。毎週、実機で動くアプリのできることが増えていくのが見えるはずです。危険信号は、デモが2回続けて延期されること、そして小さな要望が積み重なり、誰も承認しないまま納期がずれていくことです。
ステップ5:テストと検収
開発チームは途中もずっとテストしています。このステップは、御社と社員が自分の端末で、自分の業務を使って確かめる番です。
テストを始める前に受け入れ基準(検収の合格ライン)を合意します。何が合格しなければならないか、どの種類の不具合なら公開後の修正でよいか、です。問題が見つかってから決めると交渉になってしまいます。顧客が実際に使っている機種を、古い端末も含めて用意してください。よい開発会社は、機能、速度、セキュリティのテスト結果を先に提出し、状況を追える不具合報告の窓口も用意します。よくある失敗は、順調に進む操作だけを試し、電波の切断、二重決済、利用者の機種変更といったケースを飛ばすことです。顧客データを扱うアプリなら、バイブコーディング時代のサイバーセキュリティも参考になります。
ステップ6:ストア申請と公開
アプリは開発者アカウントを通じてApp StoreとGoogle Playに公開されます。アプリの下に表示されるのはこのアカウントの名前なので、御社名義であるべきです。
公開日と、全員に公開するか小さなグループから始めるかを決めます。準備はステップ2の時点で始めておくべきです。両ストアの法人向け開発者アカウント(書類が必要で、数日かかります)、アプリが実際に集めるデータと一致し、タイの個人情報保護法(PDPA)に沿ったプライバシーポリシー、そしてストアの審査担当者用のテストアカウントです。よい開発会社は申請前のチェックリストを持っています。よくある失敗は、申請日になってアカウントがまだないと気づくこと、審査担当者がログインできないことです。顧客がすでにLINEを使っているなら、LINEミニアプリはどちらのストアも通さずにLINEの中で使い始められます。
ステップ7:保守と次のバージョン
公開日は、ステップ1で立てた仮説のどれが正しかったかが分かる最初の日です。ここからの仕事は、アプリを動かし続けることと、次のバージョンで何をするかを選ぶことです。
社内の誰がアプリの責任者になるか、月額の保守プランを続けるか社内チームに引き継ぐかを決めます。引き渡しの際には、範囲どおりのソースコード、システム資料、すべてのアカウントの権限を受け取ってください。ステップ1の数字を初日から測るアナリティクスも欠かせません。スマートフォンのOSは毎年大きく更新され、誰も手入れしないアプリは動かなくなり始めます。よくある失敗は、パスワードを受け取る前に最終支払いを済ませ、何をするにも元の開発会社に頼らざるを得なくなること、いわゆるベンダーロックインです。
| ステップ | 御社が決めること | 見せてもらうもの | つまずきやすい点 |
|---|---|---|---|
| 1 課題と利用者 | 課題、利用者、測る数字 | 1枚の要約 | 機能一覧から始める |
| 2 範囲と見積もり | やること、やらないこと、連携先 | 範囲を添付した見積書 | 範囲を狭く解釈される |
| 3 プロトタイプ | 設計の承認 | スマートフォンで動く画面 | 見た目で承認する |
| 4 スプリント | 作業の順番、新しい要望と入れ替えるもの | 毎週の実機デモ | デモの延期、要望の積み重ね |
| 5 テスト | 受け入れ基準 | テスト結果、不具合の窓口 | 順調な操作しか試さない |
| 6 ストア | 最初の対象、公開日 | 申請前チェックリスト | 申請日にアカウントがない |
| 7 保守 | アプリの責任者、保守プラン | コード、資料、アカウント、数字 | すべて受け取る前に支払う |
架空のケース
ノンタブリー県で4院を運営する動物病院(名称と詳細は架空)が、飼い主が診察を予約し、ワクチンの案内を受け取れるアプリを求めていました。ステップ1で開発会社が受付スタッフに話を聞くと、実際の予約は各院のノートで管理されていることが分かり、スタッフ用の予約管理画面を先に作ることになりました。経営者はポイント制度をバージョン2に回し、すぐに法人名義で開発者アカウントを申請しました。スタッフがプロトタイプを試すと、複数のペットを飼う顧客が多いことが分かりました。
3週目のデモで、ワクチンの案内が種類を見ずに前回の接種日から数えていることが判明し、その週のうちに直りました。テストでは獣医師が4院目の古い端末を使い、予約画面の読み込みが遅すぎて使えないことが分かりました。アプリはまず1院で2週間公開され、最初の1か月で最も多かった要望はPromptPayでの予約金の支払いでした。これがバージョン2の最初の仕事になりました。
どのステップでも繰り返す3つの質問
コードを読まなくても、プロジェクトの舵は取れます。各ステップの終わりに同じ3つの質問をし、すべてに答えが出たら次に進みます。
ステップごとの3つの質問
- 1. 何を決め、どこに記録したか。 答えは、双方が同じものを持つ1つの文書であるべきです。
- 2. 今日見ているのは実データか、サンプルデータか。 公開が近づくほど、実データの割合が増えているはずです。
- 3. 今日やめたら、何が手元に残るか。 よい答えは、別のチームが引き継げるものです。
ルール: 答えの出ない質問があれば、次の支払いを承認する前に追加の打ち合わせを求めます。
開発会社と話す前の準備リスト
次の7つがそろっていれば、最初の打ち合わせを御社の課題に使えます。
- 課題、対象者、測り方を1段落にまとめた依頼文
- インタビューに応じてくれる顧客と社員3〜5人
- 連携が必要な既存システムと、それぞれの担当者名
- 顧客名を伏せた実データのサンプル
- 範囲と設計を承認する担当者1名
- 両ストアの開発者アカウント用の法人登記書類
- プライバシーポリシー、または作成を担当する人の名前
開発チーム向け · ストアアカウント、アプリ署名、審査期間
Apple Developer Programに組織として登録するには、法人格、D-U-N-S Number、会社を法的に拘束する権限を持つ申請者が必要です。2023年11月13日以降に作成されたGoogle Playの個人アカウントは、公開前に12人以上のテスターが14日間連続で参加するクローズドテストを実施しなければなりません。そのため最初から顧客名義の組織アカウントを使います。Appleは、提出の少なくとも50%を24時間以内、90%を48時間以内に審査するのが通常としています。Googleは、一部のアカウントでは例外的に7日以上かかる場合があるとしています。署名証明書とアップロード鍵は顧客がアクセスできる場所に保管し、TestFlightと内部テストで確認し、プライバシーポリシーとデータセーフティフォームを実際に組み込んだSDKと一致させます。
私たちが7つのステップを御社と進める方法
予約や注文のルールを知っているのは、その仕事を毎日しているスタッフです。そのためDNA Makerはステップ1で現場の話をじっくり聞き、業務フローと測る数字に書き起こします。範囲と金額は着手前に固定し、承認の前にタップして動くプロトタイプを試していただきます。LINEミニアプリの方が合う案件なら、その時点でお伝えします。
アプリを作るのはすべてDNA Makerの自社チームで、外注はしません。AIで加速したスプリントで開発し、毎週実機でデモを行い、シニアエンジニアがコードをレビューします。合意した範囲に沿ってテストし、ストアに申請し、御社のチームに操作を説明し、範囲どおりにソースコードを納品し、その後は月単位で保守します。私たちはタイの銀行、病院、大手企業グループとも、この進め方で仕事をしています。案件の規模を知りたいときは、チャットページのDreamに内容を伝えれば数分で概算が出ます。詳しくはAIアプリ開発をご覧ください。
SOFTWARE ENGINEERING GLOSSARY
ソフトウェア開発用語集
| 用語 | 意味 | わかりやすい例 | 開発チームへの質問 |
|---|---|---|---|
| Scope | このバージョンでやることとやらないこと | 予約は範囲内、ポイント制度は範囲外 | 途中で画面を1つ追加したら、金額と納期はどう変わりますか? |
| Prototype | 裏側の仕組みがない、タップして動く画面 | スタッフが予約を試し、複数のペットを選べる必要に気づく | 承認の前に、実際の利用者が何人試しますか? |
| Sprint | デモで終わる短い開発期間 | 3回目のスプリントで予約管理画面が届く | 今週のデモは実データで動いていますか? |
| Acceptance Criteria | テスト前に合意する合格ライン | 古い端末でも予約画面が3秒以内に開く | 基準はどこに書かれ、誰が署名しますか? |
| Source Code Ownership | 引き渡し後にコードと資料が誰のものになるかの取り決め | 別のチームがコードを引き継いで保守できる | 最終支払いの後、どのコード、資料、アカウントが手元に残りますか? |
